自社ECサイトの集客方法として、リスティング広告は最も多く使われ、費用対効果も高い集客方法の一つです。
今回は、そのリスティング広告をこれから始めようと思っている方や、インハウス(自社運用)を検討している方向けに、リスティング広告の概要からECサイトでの運用のポイントを解説します。
- 1. リスティング広告とは
- 1.1. 主にGoogleとYahoo!の2種類
- 1.2. セグメントして広告を配信できる
- 2. 広告フォーマットの種類
- 2.1. ①検索広告
- 2.1.1. 検索テキスト広告
- 2.1.2. Googleショッピング広告
- 2.2. ③ディスプレイ広告
- 2.2.1. ターゲティング広告
- 2.2.2. リターゲティング広告
- 2.3. 動画広告
- 3. 広告配信までの流れ
- 3.1. 1 課題整理と目標設定
- 3.2. 2 配信対象の検討
- 3.3. 3 広告のアカウント開設
- 3.4. 4 配信条件の設定
- 3.5. 5 広告の作成
- 3.6. 6 配信後の効果測定と改善
- 3.7. 7 配信後の効果測定と改善
- 4. 広告の運用方法
- 5. まとめ
リスティング広告とは
まずは、リスティング広告の概要から学んでいきます。
リスティング広告とは、WEB上で情報を検索・検討しているユーザーに対して、自社商品の認知拡大や購入促進をすることができます。
新聞の折込広告や電車の吊り革広告といったアナログ広告では、一般的に、「1ヶ月の掲載料がいくら」といった、月額の掲載料が必要なケースが多いです。
新聞の折込広告を見てのアクセスや購入かどうかという効果測定しずらいといった面があります。
リスティング広告では、月額の掲載料ではなく、クリックして初めて課金される「クリック課金型」のため、月数万円など少額から始めやすいメリットがあります。
また、広告経由でのアクセスや購入数を計測し効果測定を行うことができます。
そのため費用対効果を検証しながら広告配信を行うことができます。
主にGoogleとYahoo!の2種類
リスティング広告には、Google広告とYahoo!JAPANの広告の2種類あります。
Googleの検索結果に表示する広告は、Google広告、
Yahoo!の検索結果に表示する広告は、Yahoo!広告にそれぞれ出稿することで広告を掲載することができます。
広告の種類には大きく分けて、
検索結果に表示する「検索連動型広告」と、さまざまなサイトでバナー画像で表示される「ディスプレイ広告」の2種類あります。
ディスプレイ広告も、GoogleやYahoo!がそれぞれ提携しているサイトに掲載することができます。
例えば、
Googleのディスプレイ広告(GDN)では、YouTubeやGmail
Yahoo!のディスプレイ広告(YDN)では、Yahoo! ニュースやLINE、クックパッド
など、それぞれ広告掲載枠を提供している提携サイトで表示することができます。
現在は、国内の検索ユーザーの割合がGoogleでの検索ユーザーが増えたこともあり、
GoogleとYahoo! に利用する広告費の割合では、7:3や8:2、グーグルのみといったところが多い傾向にあります。
セグメントして広告を配信できる
リスティング広告では、特定の客層にセグメントをして広告を配信することができます。
例えば、地域別や曜日・時間帯別、性別・年齢別などでセグメントをすることができます。
ECサイトでの活用方法はいくつかあります。
・地域別では、特定の都道府県に広告配信のエリアを指定できます。ECサイトの場合は、全国が商圏になりますが、北海道・沖縄のみ送料無料でない場合、コンバージョン率が低い地域を除外、または絞り込んで広告掲載ができます。
・曜日・時間帯では、タイムセールやキャンペーンに合わせて、その期間だけキャンペーン用の広告を表示することができます。
・性別・年齢層では、商品のターゲット顧客の性別や年齢を合わせて広告を配信することができます。
広告フォーマットの種類
続いては、広告フォーマットの種類について学びます。
リスティング広告には、検索サイトに表示されるテキスト広告以外にも、ショッピング広告やディスプレイ広告などいろいろな広告フォーマットがあります。
①検索広告
検索テキスト広告
まず、一つ目は「検索テキスト広告」です。
GoogleやYahoo!で検索した時に表示される広告、あらかじめ指定したキーワードでユーザーが検索した場合にだけテキスト広告を表示することができます。
例えば「讃岐うどん(スペース)通販」で検索した時にだけ、広告を表示される設定をしておけば、
「讃岐うどん レシピ」「讃岐うどん 近くの店」といったECサイトでの注文から遠いような検索の時には、広告が表示されないようにすることができます。
Googleショッピング広告
二つ目は、「ショッピング広告」です。
検索結果に、商品画像と商品名、価格が表示できるECサイト向けのショッピング広告です。
こちらは、Googleの検索結果にのみ表示される広告枠です。
③ディスプレイ広告
3つ目は「ディスプレイ広告」です。
ウェブサイトやアプリの広告枠にバナー画像とテキストの広告を表示することができます。
Googleのディスプレイ広告(GDN)では、YouTubeやGmail、
Yahoo!のディスプレイ広告(YDN)では、Yahoo! ニュースやLINE、クックパッド
の広告枠に表示することができます。
「美容好き」などの興味関心でセグメントしたり、クックパッドなど閲覧サイトを指定して掲載することもできます。
①の検索広告が効果的なユーザーは、具体的に買いたいものが決まって、検索している方が多いのに対して、
③のディスプレイ広告の効果的な使い方は、まだ商品を知らないユーザーに対して、まずは商品を認知してもらうキッカケを作ることです。
ターゲティング広告
リターゲティング広告
ディスプレイ広告の「リターゲティング」では、
一度自社のECサイトに訪れたことのあるユーザーにセグメントをして広告を掲載することができます。
追っかけ広告やストーカー広告と言われることもあります。
単価が高い商品や、商品情報の知識が少ない場合には、比較検討期間が長くなる傾向にあります。
一度、自社のECサイトを訪れてくれたユーザーに、ディスプレイ広告を表示することで、記憶に留めておいてもらい、購入のキッカケを作ることができます。
GoogleマーチャントセンターとGoogle広告を連携することで、
右側の表示イメージのように閲覧した商品を1〜6商品並べて表示できる「動的リマーケティング」を行うこともできます。
商品数やカテゴリ数の多いECサイトで有効です。
動画広告
最後は、「動画広告」です。
主にYouTubeで動画を視聴したり検索したりする際に表示されます。
ディスプレイ広告とほぼ同様の方法で配信対象を絞ることができます。
まだ商品を知らないユーザーに対して、まずは商品を認知してもらうキッカケを作ることです。
静止画では伝えることが難しい、使い方や作り方が複雑な商品に向いています。
広告配信までの流れ
続いては、リスティング広告の配信を開始するまでの流れを学んでいきます。
ここでは、Google広告を例に学んでいきます。
Yahoo!広告もほぼ似た流れになりますので、まずGoogle広告を習得することで、Yahoo!広告も同じ感じで行うことができます。
広告配信までには6ステップあります。
まず計画段階では、
- 課題整理と目標設定では、ECサイトの集客や売上を上げるための目標を検討します。
月にあと何人アクセスを増やしたいか。どの商品を売り出したいかなど、課題整理と目標設定を行います。 - 配信対象の検討段階では、ユーザーの購入フローを考えましょう。
年齢層や性別などの自社にとって最も望む人物(ペルソナ)を設定してみましょう。
計画の次は、広告の管理画面で具体的な設定を行っていきます。 - 広告のアカウント設定です。
広告を出稿するための最初のステップです。Google アカウントを持っていれば 1~2分で開設できます。 - 配信条件の設定では、広告を配信するために必要な、広告予算や配信地域、曜日•時間帯などを設定します。
- 広告を実際に制作します。STEP2で検討した人物像に響く見出しや説明文、画像、動画素材を用意します。
- 掲載結果を確認して、目標が達成できたかどうかを確認します。
効果を高めるために、キーワードや広告文の見直しなどの改善策も検討しましょう。
それでは、各項目を具体的にみていきましょう。
1 課題整理と目標設定
まずは、「1課題整理と目標設定」です。
認知>検討>行動 と段階を踏んで購入に至るケースについて考えます。
「認知」段階では、
新商品や新ブランドなど自社の商品がまだ知られていない場合には、認知や興味喚起のために情報をリーチします。
この段階では、「広告の表示回数」を指標にします。
「検討」段階では、すでに興味・関心を抱いている層に対して、消費者に商品の良さを知ってもらうために、ECサイトにアクセスしてもらいます。
この段階では、「クリック率」を指標にします。
「行動」段階では、商品を欲しいと思っているユーザーに広告を通じて、購入を促します。
この段階では、「コンバージョン数」や「コンバージョン率」を指標にします。
2 配信対象の検討
つぎに「2 配信対象の検討」です。
「1 課題整理と目標設定」で検討した内容をもとに、自社ECサイトのターゲットの具体的な人物像(ペルソナ)を考えましょう。年齢や性別やライフスタイルなど、「どういう悩みや欲求があり、商品を探しているのか」を考えます。
そうすることで、広告の配信対象の絞り込みや、使用する広告文、バナー画像などの方向性が定まってきます。
3 広告のアカウント開設
ここからは、実際に広告の管理画面で設定に入っていきます。
「3 広告のアカウント開設」では、
Google広告の場合は、GmailなどのGoogleアカウントで無料で作成することができます。
● Google広告
https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/
「Google広告」で検索したページの右上「今すぐ開始」からアカウントを開設することができます。
● Yahoo!広告
https://ads-promo.yahoo.co.jp/
「Yahoo!広告を始める」から開設できます。
キャンペーンを作成
アカウントを開設できると、次は「キャンペーン」の作成画面が表示されます。
右上の図のように、リスティング広告の設定では、アカウント、キャンペーン、広告グループという順にグループ分けをすることができます。
キャンペーンの設定画面では、
・「キャンペーン目標」ではECサイトでは「販売促進」を指定して、
・「キャンペーンタイプ」では前の項目の「広告フォーマットの種類」で学習した「検索」や「ショッピング」「ディスプレイ」などを指定します。
4 配信条件の設定
配信対象では、国や地域を指定します。
予算は、1日あたりの広告費の予算を指定します。
1日3,000円に設定すると、1ヶ月=30日で9万円くらい必要になる、という想定ができます。
5 広告の作成
次に、広告の作成です。
テキスト広告の場合には、15文字や45文字などの文字制限や「お得!!」などの記号が使えないなどそれぞれのルールがあります。
ディスプレイ広告の場合には、縦横のアスペクト比が 1:1.91 や 1:1 などのサイズの指定があります。
いずれも複数パターンの広告を設定することができます。
ランダムに表示がされて、効果の高い広告に絞っていくことができます。
また、作成後、審査が完了すればいつでも広告掲載開始、一時停止することができます。
ショッピング広告の場合は、まず、Googleマーチャントセンターに商品を登録し、GoogleマーチャントセンターとGoogle広告を連携します。
Googleマーチャントセンターでの商品登録は、管理画面で1個ずつ登録する方法やCSVで一括登録、ASPカートシステムで自動連携する方法があります。
6 配信後の効果測定と改善
広告配信後は、定期的に効果測定を行って、改善していく必要があります。
広告の効果測定でよく使われる指標として、ROAS(ロアス)とCPA(シーピーエー)があります。
まず、ROASは、「いくら使って、いくら売れたか」の何倍に化けたかという指標です。
例えば、先月の広告で、広告費5万円を使って、広告経由で25万円売れた場合を考えます。
売上25万円÷5万円で、ROASは500%で、5倍に化けたということになります。
続いて、CPAは、「1件獲得単価」として、「1件の注文にかかった広告費」ということになります。
広告費 5万円 ÷ コンバージョン数 25件 = CPA 2,000円
「2,000円払えば1件の注文が入ってくる」ということになります。
ROASは、商品毎の価格差や、注文毎の客単価の差が大きい場合や、リピート購入までは考慮せず、その注文で元を取れているかを把握したい場合に向いています。
例えば粗利率が40%の場合には、100%÷40%で2.5 倍 であり、ROASが250%以上あれば、利益が出るということが言えます。
雑貨や食品の場合は、400~500%以上を目標にするケースが多いです。
CPAは、健康食品や消耗品など最初の1回買ってくれれば、あとはリピート購入してくれることが多い商品の場合などに向いています。
リピート性の高い商品の場合は、LTV(顧客生涯価値)の金額に応じて、CPAをいくらに設定するかが決まってきます。
雑貨や食品の場合は、3,000円〜5,000円を目標にするケースが多いです。
7 配信後の効果測定と改善
ROASやCPAといった指標をもとに、費用対効果を向上させるための改善方法を学びます。
広告文や実際に検索されたキーワードを確認し、
効果の低いキーワードや広告は一時停止するなどのチューニングを行います。
複数の広告文を同時に掲載し、より効果の高い広告運用にするA/Bテストという方法があります。
これらを繰り返し、より購入に繋がりやすいように改善していきます。
広告の運用方法
自社でインハウス運用 | 広告代理店に依頼して運用 | |
---|---|---|
メリット | 最小限の費用で広告を出稿できる 商品の良さを知る 自社ならではの表現ができる | 広告運用の経験・専門性を活用できる 広告運用作業以外のリソースを確保できる |
デメリット | 広告を運用するための知識と経験が必要 | 運用手数料が必要になる 自社内にナレッジが貯まらない |
費用の目安 | 広告費用のみ | 運用手数料の相場は広告費用の20% または固定手数料 |
広告の運用方法には、2パターンあります。
「自社でインハウス運用するパターン」と「広告代理店に依頼して運用」するパターンがあり、それぞれのメリットデメリットがあります。
「自社でインハウス運用」するメリットは、
・最小限の費用で広告を出稿できる
・商品の良さを知る自社ならではの表現ができる
という点です。
デメリットは、
・広告を運用するための知識と経験が必要になることで、時間がかかる
・費用は手数料が不要のため、安く抑えることができる
という点があります。
「広告代理店に依頼して運用」するメリットは、
・複数社のリスティング広告を運用してきたという、広告運用の経験・専門性の活用
・広告運用以外の業務にリソースを当てられる
という点です。
デメリットは、
・運用手数料が必要になる
・自社内にナレッジが貯まらない
という点があります。
まずは、自社でできるところまでやってみる、広告代理店に依頼するなど自社にあった運用方法を見つけることをおすすめします。
まとめ
リスティング広告は、自社ECサイトの集客・売上を上げるために必須の方法です。
課題整理と目標設定を行って、最適な運用方法を見つけていきましょう。
当社では、リスティング広告のインハウスの運用支援も行っています。
数ヶ月間、伴走型で一緒に運用を行いながら、数ヶ月後には自社スタッフでの運用が完結できる状態を目指しています。
投稿者プロフィール
-
ECサイトのデジタルマーケティングとDX推進を支援するコンサルティング会社で、WEB・ECサイトのコンサルティング、運用支援を行っています。
讃岐うどんとECが大好きな二児の父。好きな曜日は金曜日。
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